ECでの購入はクーリングオフできる?EC販売における制度の正しい知識とよくある勘違い

EC(電子商取引)でのクーリングオフ制度は、消費者が商品を購入した後に一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。しかし、この制度について誤解している方が多く、トラブルに発展するケースも少なくありません。この件についてどういう対応をしたらよいのかご相談いただくことも多いです。
本記事では、ECにおけるクーリングオフ制度の正しい知識と、実際に勘違いされている事例をまとめます。
1. クーリングオフ制度の基本

結論から申し上げますとEC(インターネット販売)で購入した製品はほとんどの場合でクーリングオフ対象外です。
独立行政法人国民消費者センターにもこのようなに書いてあります。
https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen471.html
店舗の特約(返品ポリシー)などある場合はそれに従うことになります。
クーリングオフ制度は訪問販売や電話勧誘など向こうから営業に来た場合でほとんどの場合は適応されます。
1.1 クーリングオフの対象
クーリングオフは、主に訪問販売や電話勧誘販売など、消費者が店舗以外の場所で契約を結んだ場合に適用されます。
1.2 クーリングオフの期間
クーリングオフが可能な期間は、商品を受け取った日から8日間です。この期間内であれば、理由を問わずに契約を解除できます。
1.3 クーリングオフの手続き
クーリングオフを行うためには、事業者に対して書面(メールや郵便など)で意思表示をする必要があります。口頭での意思表示では法的効力が認められないため、書面での通知が必須です。
2. クーリングオフの例外
クーリングオフには例外があり、以下の場合は適用されません。
2.1 商品の特性による例外
- デジタルコンテンツ: ダウンロードやストリーミングで提供される音楽、動画、ソフトウェアなどは、一度提供されると返品が不可能なため、クーリングオフの対象外です。
- カスタムメイド商品: 注文を受けてから製造される商品(例: オーダーメイドの家具や衣類)は、クーリングオフの対象外です。
2.2 サービスの特性による例外
- 即時提供されるサービス: オンライン英会話やライブ配信などの即時提供されるサービスは、クーリングオフの対象外です。
3. よくある勘違いと実際の事例
3.1 勘違い1: 「クーリングオフは無条件でいつでもできる」
実際の事例: ある消費者が、購入した商品を1か月後に返品しようとしたが、クーリングオフ期間(8日間)を過ぎていたため、返品が拒否された。消費者は「クーリングオフは無条件でいつでもできる」と誤解していた。
正しい知識: クーリングオフは、商品を受け取った日から8日間以内に限られます。期間を過ぎると、クーリングオフは適用されません。
3.2 勘違い2: 「開封した商品でもクーリングオフできる」
実際の事例: ある消費者が、家電製品を開封し、使用した後にクーリングオフを申し出た。しかし、開封済みの商品は返品不可とされ、トラブルに発展した。
正しい知識: クーリングオフは、商品が未使用・未開封であることが前提です。開封や使用をした場合、クーリングオフは適用されないことがあります。
3.3 勘違い3: 「デジタルコンテンツもクーリングオフできる」
実際の事例: ある消費者が、音楽ファイルをダウンロードした後、クーリングオフを申し出たが、デジタルコンテンツはクーリングオフの対象外とされ、返金が認められなかった。
正しい知識: デジタルコンテンツは、一度提供されると返品が不可能なため、クーリングオフの対象外です。
3.4 勘違い4: 「クーリングオフの手続きは口頭でもできる」
実際の事例: ある消費者が、電話でクーリングオフの意思を伝えたが、書面での通知がなかったため、クーリングオフが認められなかった。
正しい知識: クーリングオフの手続きは、書面(メールや郵便など)での通知が必要です。口頭での意思表示では法的効力が認められません。
4. クーリングオフをスムーズに行うためのポイント

4.1 期間内に手続きを行う
クーリングオフは、商品を受け取った日から8日間以内に行う必要があります。期間を過ぎると、クーリングオフは適用されません。
4.2 書面での通知を忘れない
クーリングオフの意思表示は、書面(メールや郵便など)で行う必要があります。口頭での通知では法的効力が認められないため、必ず書面で通知しましょう。
4.3 商品を未使用・未開封の状態で返品する
クーリングオフを行う際は、商品を未使用・未開封の状態で返品することが重要です。開封や使用をした場合、クーリングオフが適用されないことがあります。
5. まとめ
以上のように基本的にはインターネットでの購入はクーリングオフ対象外ということです。
特約で返品事由について定められていることが多いので、もし自己都合で返品できた場合はショップのご厚意ということも理解した方がよいと思います。
このようにクーリングオフ制度は、消費者にとって重要な権利ですが、正しい知識を持たないとトラブルに発展する可能性があります。クーリングオフの期間や手続き、例外事項をしっかりと理解し、適切に対応することが重要です。実際の事例を参考に、クーリングオフ制度を正しく活用しましょう。
お互いに節度を持った正しい知識で快い取引をしていきましょう。
この記事を通じて、ECにおけるクーリングオフ制度の正しい知識を深め、トラブルを未然に防ぐための参考にしていただければ幸いです。